ごく普通の離婚問題では、慰謝料などの法的責任は理解しつつも、その責任を素直に受け容れられない当事者なりの言い分があったりするものです。
しかし、世の中は表面的な事象だけで全てを知ったかのように他人を評価する冷酷なところがあると、先に覚悟していただきたいと思います。
分かりづらいと思いますので、具体的な事例でお話ししましょう。たとえば、夫の浮気や暴力が問題のケースです。
浮気をした夫も、暴力をふるった夫も、それが許されない行為であることは理解している人はたくさんいます。
しかし、夫が責任を認められないのにはそれなりの理由があったりするものです。もしも、浮気や暴力をふるった夫が、こんな反論をした場合、皆さんはどう思われるでしょうか。
家に帰っても”お帰りなさい”の挨拶とか”お疲れさま”などのねぎらいの言葉も一切無く、言うことがあるとすれば、「山田さんは課長に昇進したっていうのにあなたは・・・あなたは本当に何をやってもダメね」と言ってため息をついたり舌打ちをされます。
娘にも「お父さんみたいになっちゃダメよ!」なんて言ったりしたので「俺だって一生懸命働いてるんだ。少しくらい敬意を払ってくれてもいいだろ!」と反論しました。
でも妻は「大した稼ぎもないくせに!」と言ってきて・・・カッとなって、初めて妻に手を出してしまいました。
そして夫は以下のような問題行動に出て、問題は拡大していきます。
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- 暴力
言葉の暴力に耐えきれずに思わず手が出てしまう - 不貞行為(不倫・浮気)
安らぎを求めて他の女性と不倫関係になる - 悪意の遺棄
家に居場所を失って家を出て行く - 浪費問題
ストレス解消だと言ってギャンブル・風俗などにはまり、多額の借金ができる
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このケースで夫に責任が無いとは言うつもりはありません。暴力は決して許されないことですし、反省もしなければなりません。
ただ、本当に夫婦関係を改善しようとするなら、夫の言い分もキチンと聞かなければなりません。表面的な問題は浮気や暴力でも、その根底には複雑な問題が山積みであることがほとんどです。
しかし、世間はそのような問題は取り上げてくれません。ハッキリ言ってしまうと他人事(ひとごと)です。警察でも調停でも「どんな理由があろうと、浮気した方が・・・暴力を振るった方が負けです。」といったように軽くあしらわれます。
深刻な夫婦問題を警察や調停委員に話そうしても、ろくに話も聞かず
などと知ったかぶりのアドバイスをして終わるようなケースは多々あります。そんな対応をされると、人は人間不信に陥り、自暴自棄になり、すべてを破壊してしまいたくなります。
このような状況の人に何が必要かと言えば、それは”真剣に話を聞いてくれる人”です。割り切れない思いを真剣に聴いて、理解して、共感してくれる人がいれば、人は冷静に物事を判断できるようになります。
表面的には明らかに非があるとされた夫が、「逆に慰謝料を請求したいくらいだ!」と強く訴えかけるケースは多々ありますが、それはこのような複雑な夫婦問題が根底にあるからです。