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内縁関係とは

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婚姻届を出していないが、事実上夫婦と同様の関係にあるものを”内縁関係”といいます。内縁関係と似た関係に、同棲という関係がありますので、まずはこの区別をしていきましょう。内縁関係は、結婚の意思が双方にあって夫婦同然の生活をしている男女の関係を指します。これに対して「同棲」は、表向きは夫婦同然の生活をしていても、結婚する意志まではなく一時的な共同生活をしているに過ぎない男女の関係を指します。

内縁関係

結婚の意思が双方にあって夫婦同然の生活をしている男女の関係。

同棲

表向きは夫婦同然の生活をしていても、結婚する意志まではなく一時的な共同生活をしているに過ぎない男女の関係。

内縁関係に認められる権利義務

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内縁関係は「婚姻に準じる関係」であるとして、以下のように、ほぼ法律上の夫婦と同様の権利義務が与えられています。

内縁関係でも認められている権利義務
  • 貞操義務
    不貞行為により内縁関係を解消させられた者は、不貞行為の当事者に慰謝料を請求できます。
  • 同居義務・協力義務・扶助の義務
    正当な理由もなく別居を強行された者は、相手方に同居・協力・扶助を求めることができます。
  • 姻費用分担義務
    法律上の夫婦と同様に同居・協力・扶助の権利義務があるので、正当な理由もなく別居した相手方に対して、婚姻費用の分担を求めることができます。
  • 日常家事債務の連帯責任
    対外的にも夫婦同様の権利義務を認められるので、日常生活の家事処理に関する債務は、どちらの名前で取引をしても、夫婦共同の債務として双方が責任を負うことになります。
  • 財産分与の請求権
    内縁関係を解消する際、相手方に財産分与を請求できます。当事者間で解決できない場合は、内縁関係に基づく財産分与請求の調停又は審判を申し立てることができます。
  • 健康保険の各種給付、育児・介護休業の権利
    社会保障上では、社会保障が、事実上の家族共同生活を対象としているため、健康保険の各種給付、育児・介護休業の利用が 認められています。
  • 厚生年金の遺族年金の受給権
    法律上の夫婦同様に、厚生年金の遺族年金の受給権が認められている。(厚生年金放3条2項)
  • 労働者災害補償保険の遺族補償手当の受給権
    法律上の夫婦同様に、労働者災害補償保険の遺族補償手当の受給権が認められている。(労働者災害補償保険法16条1項)
  • 居住権の保障
    持ち家の場合、相続人からの明け渡し請求を、権利の濫用として斥けることができる。借家の場合、賃貸人からの明け渡し請求に対し、相続人の借家権を援用して対抗することができます。
  • 事故死の場合の損害賠償請求権
    内縁の配偶者が事故死した場合、加害者に財産的利益(扶養請求権の侵害)及び慰謝料の請求が認められる。

内縁関係に認められない権利義務

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内縁関係には適用されない権利義務
  • 夫婦同氏(民法750条)
    夫婦でも同じ姓(苗字)にする必要はない、内縁の開始を理由に姓の変更はできない、ということ。
  • 夫婦間の契約取消権(民法754条)
    内縁の当事者の間では、契約を一方的に取り消すことはできないということ。
  • 子の嫡出性(民法772条)
    内縁期間中に懐胎した子でも夫の子とは推定されないということ。
  • 姻族関係の発生(民法725条)
    内縁関係になっても姻族関係は発生しないということ。
  • 共同親権(民法818条第3項)
    内縁関係の間に生まれた子の親権者は母親ということ。(父は親権者にはならない。子供は非嫡出子となる。)
  • 配偶者相続権(民法890条)
    死亡によって内縁関係が解消された場合、内縁の配偶者は相続権を主張できず、財産分与も請求できない。(内縁関係を解消する場合は財産分与の請求が認められる)

内縁関係の不当破棄に基づく慰謝料の請求

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内縁関係にあった男女のどちらかが、相手の同意なくして内縁関係を不当に破棄し、事実上の結婚生活が解消されてしまう場合を「内縁の不当破棄」といいます。内縁を不当に破棄された者は、法律上の夫婦と同様に、相手方に対して慰謝料を請求することができます。内縁解消の責任が一方のみにある場合は、相手方に慰謝料を請求できますが、責任が双方にある場合には、”お互い様”ということで、それぞれの責任を相殺するのが一般的です。