養育費

養育費とは

養育費とは、未成年の子の養育監護に必要な費用のことです。協議離婚の際には、養育費は、子の監護に必要な事項として、協議で定めることとされており、協議が調わないとき又は協議することができないときは家庭裁判所がこれを定めるものとされています。(民法766条)

また、養育費は、子から親に対して扶養料として請求することもでき(民法879条)、養育費の支払を命ずる地方裁判所の判決・審判、養育費の支払を合意した調停調書は、いずれも「債務名義」となり(民事執行法22条3号、7号)、これに基づき強制執行をすることができます。


養育費の決定方法

養育費の決定方法

養育費は以下いずれかの方法で決定します。

  1. 夫婦間の協議(民法766条)
    夫婦が協議離婚をする中で決定します。
  2. 離婚調停の場で決定
    夫婦間の協議で養育費が決まらないとき又は養育費の協議自体ができないときに、離婚調停の場で決定します。(家裁での手続き)
  3. 審判による決定(家事審判法9条1項乙類4号)
    離婚調停が成立しない時は、「審判」という形で、裁判所に養育費を決定してもらいます。

養育費の取り決めは必ず公正証書に

養育費の不払いを予防する公正証書

当事者間で養育費について合意した場合は、必ず法的な効力のある公正証書にしておきましょう。養育費の合意をしても、事情の変化により不払いになるケースが圧倒的に多いからです。

当事者間で作成した契約書でも一定の効力は認められますが、後日不払いが生じたとしてもすぐには差押さえ等の強制執行はできません。

その契約書には執行力という法的効果がないため、改めてその契約書を証拠として裁判所に訴え判決を得る必要があるのです。

養育費の取り決めは意味のある公正証書に

しかし、裁判には時間と費用がかかるため、そう簡単には判決を得ることはできません。そこで!一歩進んで契約書を作成する時には強制執行力のある公正証書にしておくのです。

そうすれば裁判をしなくても、すぐに給料等の差押え(給与の約50%)が可能になります。(強制執行の申立には裁判所への申立費用が必要)

万一の時に効果のある書面が本当に意味のある書面であり、その書面こそが公正証書です。この点をよく理解していただき、後日の紛争回避に是非お役立て下さい。


将来分の養育費の差し押さえ

平成15年8月、養育費の回収方法について重大な法改正(民事執行法の一部改正)があり、平成16年4月1日から利用できるようになりました。

従来は滞納された養育費についてしか強制執行できなかったため、滞納があるごとに強制執行の手続きを行う必要がありましたが、法改正後は、養育費が1回でも滞納した場合、滞納分だけではなく「将来分の養育費」についても「相手方の給料などに限って」差し押さえることができるようになりました。

簡単に言うと、1回強制執行の手続きをすれば、その後は強制執行をする必要がなくなったということです。


財産開示手続

債権者の申立てにより,裁判所が債務者に財産の開示を命じる制度(財産開示手続)が新しく設けられました。

従来は、判決等を得て、強制執行をしようとしても、相手方(債務者)がどのような財産を持っているか分からないことがありましたが、改正後は、相手方がどのような財産を持っているのか分からない場合に、相手方に財産目録を作成・提出させ、裁判所に呼び出し、宣誓・陳述させることによって、財産の状況を明らかにしてもらうことができるようになりました。



強制執行における注意点

勤務先がわからないと強制執行はできない

強制執行をする相手方の勤労先がハッキリしていないと当然強制執行はできません。ただ、相手方が収入を隠す場合は「財産開示手続き」という方法をがありますので「所在」がわかっていれば就労先や収入を偽ることはできなくなりました。

勤務先が変わったら再度の強制執行が必要

強制執行をする相手方の勤務先が変わった場合には、新しい勤務先に対して再度強制執行を行わなければなりません。また、会社から支払ってもらうようにするためには再度、会社と交渉する必要があります。

自営業の夫の収入に対する強制執行は難しい

基本的に自営業の夫の収入を差し押さえるのは難しいと考えてください。強制執行は、給与や賃料などの継続的な収入がある場合に限られているので、継続的な収入とはいいがたい自営業の場合は適用が困難なのです。

ただし、継続的な収入と認められる場合は強制執行の対象になりますので詳しくは当事務所までご相談ください。債務名義書類

※債務名義とは、差押さえや強制執行の権利を証明する法的根拠のことで、代表的なものとして公正証書・調停調書・確定判決などがあります。


養育費の減額・免除

一度決めた養育費の額は、後で変更できないのが原則ですが、当事者間に特別の事情が発生したときは、養育費の増額・減額・免除が認められることもあります。

養育費の減額・免除の具体例

  1. 失業・収入の減少
    養育費を支払っている親に「失業」や「収入の長期的減少」という特別の事情が生じた場合は養育費の減額が認められることがあります。
  2. 再婚・養子縁組
    子供を引き取った親が再婚をして、さらに再婚相手と子供が養子縁組をするような場合、養育費を支払っている親は、その養育費の免除または減額の請求が認められる場合もあります。

「養育費の金額は変更しない」という取り決め

「養育費の金額はどのような事情があろうと変更(増減)しない」という取り決めをしても、公正証書にすることは難しいでしょう。

公証人も「無効」とまでは言わないまでも、現実的には経済的事情等により、養育費を変更せざるを得ないケースもあるため「現実的に適当ではない」として公正証書にはしてくれないでしょう。 


「養育費はいらない」という取り決め

養育費は子を引き取る親の権利ではなく子どもの権利です。従って、仮に養育する側の親が「養育費はいらない」と合意した場合でも、そのような合意は法律的にも無効なので、子供は成人するまでの間、養育費を請求することができます。

養育費は子どもから請求する性質の「扶養請求権」なので、監護者が放棄しても意味がないのです。お子さまのためを思うなら、養育費は必ず請求してください。


養育費は子供名義の口座で受け取る

養育費を銀行振込等で受け取る場合は、なるべく子ども名義の口座で受け取りましょう。子どもと離れて暮らす親の立場で考えると、子ども名義の口座の方が支払う気持ちになりやすいからです。

継続的に養育費を受け取るためには、支払う側への配慮と感謝の気持ちが必要であることを忘れないでください。