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親族問題を理由とする離婚

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「親族との折り合いが悪い」は、男性が選ぶ離婚理由のうち、性格の不一致(男性1位)や異性関係(男性2位)に次いで多い(男性第3位)離婚理由です。かつては「嫁対姑」に代表される女性側の問題として取り上げられることの多かった親族間の不和問題ですが、最近はちょっと傾向が違ってきているのかもしれません。いずれにしても、家ごとに育った環境(生活環境)が異なっていた訳ですから、性格・価値観が違ってくるのも当然のことといえるでしょう。

行政書士西田

性格の不一致や価値観の相違があることを認めた上で「大切なのはお互いの違いを認めること。」と考えて、夫婦や親族の性格や価値観を受け容れることができたら、親族の不和を理由とした離婚は減ると思います。ただ、それって実際は結構難しいですよね…。

「親族との不和」を理由とする離婚はどんなときに認められる?

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配偶者の親族との不和を理由に離婚の訴訟を提起するなら、その訴えが認められるだけの十分な準備をしておいた方がいいでしょう。親族との不和は性格の不一致と同様に、そう簡単には離婚原因として認められるものではありません。

多少の親族間の不和はどこの夫婦にもありますから、相手方が親族間の不和を理由とする離婚に断固反対するようなら、相当深刻な不和の実態を証明する必要があるでしょう。親族との不和といっても様々なケースがあるので一概には言えませんが、親族の不和によって離婚が認められる一般的なケースは以下の通りです。

親族との不和による離婚が認められやすい場合
  • 親族間の不和を解消することに配偶者が非協力的な場合
  • 配偶者が親族間の不和を放置(黙認)している場合
  • 婿入り(嫁入り)した配偶者が他方配偶者の両親から冷遇されているのに、他方配偶者もその両親の言いなりになって、配偶者の居場所がない場合(疎外されている場合)

離婚問題に親族が関わる場合の問題点

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離婚問題が発生したとき、親族の迅速かつ適切な協力によって、早期円満解決を図れるケースは多々あります。しかし、それと同等かそれ以上に、親族が離婚の話し合いに加わることによって問題の解決が難しくなることも多いと言えます。離婚問題は親族にも大問題ですから、放置するわけにはいかないと思います。ただ、親族が関わる場合には、以下のような問題点がありますので、これらの点を慎重に検討し、必要以上の離婚問題を長期化・複雑化させないようにしていきましょう。

親族が関わる場合の問題点
  • 公平な意見が期待しづらい
  • 正しい法的知識を持っていない
  • 正しい情報が入りにくい
  • 親族に本質的な判断を期待するのは難しい

親族に公平な意見を期待するのは難しい

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夫婦の間で問題が発生すると、夫婦を取り巻くそれぞれの親族は、血縁関係のある身内をより保護してあげたいという思いから、無意識のうちに「身内贔屓」の言動をしてしまいがちです。そしてそれが取り返しのつかない感情的な対立に結びついたりします。感情優先の意見は筋道が通っていないことが多いため、相手方親族を激怒させる原因になることがしばしばあります。例えば、離婚する夫の親が「妻の浮気が離婚の原因なんだから息子は養育費を払う必要はない!」などと、感情優先の発言を繰り返せば、問題の解決が相当難しくなることは間違いありません。

親族は本質的な判断をするのが難しい

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一般的に離婚の手続きで取り扱われる問題の多くは表面的な問題です。たとえば、暴力を振るった人の多くは、それが良くないと知りつつ、自分を抑えきれずに暴力を振るってしまうケースが大半です。ここでは「暴力」が表面的な問題で、「理由」が本質的な問題と考えていくことにしましょう。暴力を振るった人は皆「理由をキチンと聞いてほしい」と切実に訴えます。しかし世の中は、暴力の診断書など、表面的な部分だけを取り上げて対処してしまいがちなところがあります。

たとえば、妻が「夫から暴力を受けた」と医師の診断書を持って警察に走ると、本質的な問題の解明はほとんどないままに保護命令等の措置を取られるなど、世の中から「暴力夫」のレッテルを貼られてしまうことがあります。もしかしたら、妻の度重なる浮気・ギャンブル・借金に怒ってつい手が出たのかもしれません。妻の心無い言葉や態度に耐え切れなかったのかもしれません。セックスレスが長年続いていたことが潜在的な原因かもしれません。

しかし世の中は、本質を無視して表面的な問題だけを大きくクローズアップして糾弾します。いくら理由を説明しても「どんな理由があろうと暴力は絶対にダメです!」とピシャリと言われておしまい。そのようなことが大半ではないでしょうか。どちらにも肩入れしない警察でさえこういった感じですから、身内贔屓になりがちな親族などは個人的な感情が邪魔をして、余計に本質的な判断が難しくなります。ですから、親族は「自分はどうしても身内びいきになりがちだ」と謙虚な姿勢を持つよう心掛けた方がいいでしょう。

親族に正しい法的知識は期待しづらい

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妻の浮気と養育費の問題は法律的には全く別です。養育費を支払う側の気持ちが理解できないわけではありませんが、感情が優先してしまうと、浮気をした妻のために無関係の子供が自分の養育費を失うことの理不尽さに気づくことができません。親族が正しい法律上の知識を持っていれば、多少感情的になったとしても、法律という常識が親族らの感情的な言動を抑制してくれます。

法律上の知識がない者が、感情優先で余計な口出しをすると、反対に問題が混乱してきます。正しい法律を知って意見を改められるならまだ良いのですが、もともと感情的なところから介入している親族です。正しい知識を突きつけられると「法律など関係ない!」などといって怒り出すのが関の山。根底に「身内意識」がある以上、公平な意見は期待しづらいのではないでしょうか。

親族には事実に関する正確な情報が入りにくい

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親族が夫婦の問題に介入するのが難しい理由の一つに「親族には事実に関する正確な情報が入りにくい」という点があります。親族に入る情報は、息子や娘などの血族から入るものが大半で、相手方から入る情報はほとんど無いのが普通です。たとえば、夫の浮気で揉めたケースで考えてみましょう。浮気をされた側の妻は、自分に有利なことは大袈裟になりがちな反面、都合の悪いことは話さなかったりするものです。

ですから「身内は、悪気なく、不確かな情報を親族を伝えてしまうものだ。真相はお互いから聞かないと分からない」ということを念頭に置いておいた方がいいでしょう。一方からの中途半端な情報だけを真実と思いこみ、身内感情がプラスされて「一言言わないと気が済まない!」と相手方に”ガツン”と感情的な言葉をぶつけてしまうと収集がつかなくなります。この点を踏まえ、身内から夫婦の話を聞くときは「話半分程度」とわきまえておきましょう。