離婚慰謝料の相場

離婚慰謝料の相場

離婚慰謝料の相場については確たる基準は設けられていませんが、過去の判例を紐解くと200万円程度の金額が一番多いようです。

といっても、法律で離婚慰謝料の金額が具体的に決められているわけではありませんので、ケースバイケースと言うしかありません。離婚慰謝料の相場として一般的な金額をあえて掲げるなら「50〜300万円」という金額になるでしょうか。

離婚慰謝料の算定基準

離婚慰謝料の金額について明確な基準を設けようと、大阪弁護士会が「婚姻年数」と「有責性の度合い」に応じて作成した表がありますので、離婚慰謝料の相場に関する資料としてご参照下さい。

離婚慰謝料の算定基準 (単位:万円)

婚姻期間
1年未満
1〜3年
3〜10年
10〜20年
20年以上
責任軽度
100
200
300
400
500
責任中度
200
300
500
600
800
責任重度
300
500
700
900
1000

※この表はあくまで「婚姻期間」「有責性の度合い」を基準とした表であり、その他の要因は含まれていません。あくまでも離婚慰謝料の相場に関する一資料に過ぎませんのでその点ご注意下さい。

離婚慰謝料を算定する際に重視される主な事情

離婚慰謝料の金額を算定する際に重視される主な事情としては、判例は以下のようなものが挙げています。

・婚姻関係が破綻した経緯(離婚に至った原因)
・不法行為の度合い、有責行為の態様・程度・期間
・関係修復への努力の有無
・婚姻生活に対する誠実さ
・経済状態(年収・資産等の状況)
・再婚の可能性
・生活能力・生活費の不払い・離婚後の状況
・婚姻の際の経済的負担
・年齢・性別・職業・収入・社会的地位
・別居期間

離婚慰謝料算定の問題点・注意点

離婚については、それぞれ具体的な問題点が異なるので、一律的な基準に従って離婚慰謝料の金額を算出することはできません。

当事者間で離婚慰謝料の金額がまとまらず裁判に発展した場合でも、その結論は担当した裁判官の裁量、価値観に左右されてしまいます。わかりやすく言うと「全く同じ離婚問題であっても、裁判官ごとに全く違った結論が導き出されてもおかしくない」ということです。

また、協議離婚・調停離婚・裁判離婚のいずれによる場合でも、「離婚慰謝料の算定において重視されるべき事情」が現実的に取り上げられ、慰謝料の金額に反映されるとは限りません。

重視されるべき事情があっても、当事者が明らかにしなければ当然これらの事情は「なかったもの」として取り扱われますし、事実関係の説明に問題があったり、情報が不足していたりするとそれらの事情は反映されなくなります。

仮に当事者が適切に重要な事情を取り上げ、専門家等に説明していたとしても、これが実際に取り上げられて離婚慰謝料の金額に反映されるとは限りません。専門家に頼めば全ての事情を適切に聞き取ってくれて、離婚の慰謝料に反映させてくれるはず、などと勘違いされている方もいらっしゃいますが世の中そんなに甘くはありません。

重大な事実関係は、当事者自身が積極的に取り上げなければ表に出てきませんのでくれぐれもご注意下さい。


離婚慰謝料の試算方法

離婚慰謝料の算定基準に確固たるものがないことは前述のとおりですが、第二東京弁護士会が裁判での基準を元に試案して提案している計算式がありますのでご紹介しておきましょう。

この算出方法のポイントは離婚慰謝料を「離婚原因慰謝料」と「離婚自体慰謝料」を二つに分けて算出し、これを合算するという点です。

離婚原因慰謝料の算定

 離婚原因となる事実から受ける苦痛に対する慰謝料を離婚原因慰謝料といいます。離婚原因慰謝料の対象は「離婚を求める事由」(民法770条)を基準として以下のように考えられています。

<不貞行為:120万〜240万円以下>
不貞回数、期間、不貞の相手方に子供ができた、不貞を働いた相手から性病をうつされた、精神的苦痛(心労による流産、自殺未遂、ノイローゼなど)、不貞に至った経緯などを考慮の上、基準額120万円に増額されます。

<悪意の遺棄:60万〜240万以下>
 基準額を100万円として、以下の事由を考慮して増減されます。

○同居義務違反に関する事情
  別居期間、別居に至った経緯、別居状態解消の努力や精神的苦痛等の事情 を考慮して増減します。

○協力・扶養義務違反
 生活費を入れない、借金などの経済的責任の放棄等の事情を考慮して増減し ます。

<精神的虐待・暴力:60万〜120万円以下>
 精神的虐待・暴力の状態、それに至った経緯、継続性、回数、それによる苦痛 の程度、怪我や障害・後遺症の程度などを考慮して増減します。

離婚自体慰謝料の算定

離婚自体慰謝料とは、離婚すること自体から生じる苦痛に対して支払われるものです。離婚自体慰謝料の基準(基本慰謝料)を120万円として、次のような数式によって算定します。

<計算式>
離婚自体慰謝料
=基本慰謝料+相手の年収の3%×実質的婚姻年数×有責度×調整係数

※実質的婚姻年数
  婚姻期間が20年以上の場合は20として計算します。別居期間も婚姻年数に含めます。

※有責度
  相手が一方的に悪いときは1、自分にもかなり非があるというなら、その度合いによって0.2〜0.4などのように決めていきます。お互いに同程度の場合は0としますので、離婚自体慰謝料は0円ということになります。

※調整係数
  0.7〜1.3の間で、離婚後の生活の困難性によって事情を勘案していくものです。例えば、手に職を持ち、夫と同程度の収入がある女性なら0.7で、まったく職業経験がない女性なら1.3、といった感じです。


離婚慰謝料の話し合いがまとまらない時

離婚慰謝料に関する話し合いが当事者間だけでまとまれば、特に難しい手続きを要しません。当事者間で決済を済ませればそれだけで離婚慰謝料の手続きは終了となります。

しかし、離婚の相手方が慰謝料の支払いに応じないときは、家庭裁判所の離婚調停において、離婚の請求と併せての慰謝料を請求することができます。

また、調停でも話し合いがつかない場合は裁判で請求することができます。