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”愛があればお金はいらない”という考え方については、テレビや雑誌でお決まりの話題として取り上げられますが、本気でそう考えている人はごく少数ではないでしょうか。

大多数の人は、お金が全てとは言わずとも、それなりに高い経済力がなければ、平和な暮らしは手に入りにくい現実があることを知っています。

「夫婦喧嘩の7割はお金の問題」という統計もありますが、これは結局「お金があれば夫婦喧嘩は防げる」という現実を示していると言っていいでしょう。

全くお金がないと生活自体ができませんから、最低限のお金は絶対に必要です。こう考えると「愛が強ければ、貧乏生活の耐久力は増す」というのが、最も現実的に即した考え方と言うべきではないでしょうか。

現実的な貧乏生活の耐久力を考えると、その強さは愛情の強弱だけでなく、元来の性格や生い立ちが強く影響してくると言っていいでしょう。

たとえば、心の中で「死んでもこの人についていく」と思っていても、貧乏生活に弱い人が、現実の生活でネズミがチューと顔を出しそうな環境下に置かれたら、強いストレスで途端に逃げ出してしまうことはあり得ます。

反対に、心の中では「この人とはいつ別れてもいい」と思っていても、貧乏生活に強い人なら、前述のネズミがチューの環境下でも、何のストレスも感じないまま普通に生活できたりするものです。

こう考えると、貧乏に強いほど離婚しにくく、貧乏に弱いほど離婚しやすい、という傾向があることは間違いないと言えるでしょう。

昨今は、経済的なことを深く考えないまま結婚し、いざ現実の厳しさを感じるとすぐに離婚を決意する傾向が強いと感じられます。

「結婚後はどんな経済苦にも耐えるべき」などと言うつもりはありません。しかし、結婚や離婚が自分の人生だけでなく、相手方や子供やお互いの親族の人生にも大きな影響を及ぼすことを、よく考えた上で決断した方がいいでしょう。

昔の人は「一度結婚したら何があっても添い遂げるべき」といったような覚悟で結婚し、両親も「一度家を出たからには何があっても戻って来るな」という厳しい姿勢で送り出していた、という話をよく聞きます。

昔と違い、柔軟な形で結婚や離婚が可能になった時代の変化は大きな進歩だと思いますが、その半面、かつては存在した結婚に対する固い決意や覚悟のようなものが失われてきたことは、大きな退化といえるのではないでしょうか。

なお、固い決意の下に結婚した場合でも、結婚後に配偶者が何らかの事情によってやる気を失い、奮起を促しても働かず、日々の生活にも困窮して離婚するようなケースもあると思います。

しかしそれは、表面的には金銭的な困窮が離婚原因に見えても、実際は結婚相手のやる気のなさに愛想を尽かしての離婚と考えられます。

経済的に困窮したとき、妻から離婚を突き付けられた男性は「金がなくなったらお払い箱か!」と捨て台詞を吐いたりしますが、実際はお金の不足自体が問題ではなく、苦境の中で前向きな姿勢が見られない夫の姿勢や態度に愛想を尽かして離婚を決意するケースが多かったりします。

苦境の中でも家族のために必死に働く夫の姿を見たら、妻もそう簡単には離婚を切り出したりはできないでしょう。

経済力の強弱が夫婦の将来を大きく左右することは確かですが、夫婦が厳しい現実に背を向けず、前向きな姿勢で改善を図ろうとするなら、経済の問題も夫婦の問題も好転する可能性が高くなると思います。

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