暴力発生の割合、被害者・加害者・子供に与える影響
目次
配偶者から暴力を受けた割合
配偶者からの暴力は、家庭内で行われることが多いことから、実際の発生件数を把握することは困難です。
平成14年10月、内閣府が”配偶者等からの暴力に関する調査”を実施し、20歳以上の配偶者や恋人の男女から被害経験を聞いたところ、次のような結果が出ました。
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- 身体に対する暴行をうけた(身体的暴行)
女性15.5% 男性8.1% - 恐怖を感じるような脅迫をうけた(心理的脅迫)
女性5.6% 男性1.8% - 性的な行為を強要された(性的強要)
女性9.0% 男性1.3% - 身体的暴行、心理的脅迫、性的強要のいずれかをこれまでに1度でも受けたことのある人
女性19.1% 男性9.3%
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驚くべきことに、女性の5人に1人が、DV被害に遭ったと回答しています。このことからもわかるとおり、DVの問題は我々の身近な大きな問題であると認識する必要があるでしょう。
暴力から逃れられない理由
暴力から逃げられない心理としては以下のようなものが挙げられます。
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- 恐怖感
被害者は、「逃げたら殺されるかもしれない」という強い恐怖から、家を出る決心がつかないこともあります。 - 無力感
被害者は暴力を振るわれ続けることにより、「自分は夫から離れることができない」「助けてくれる人は誰もいない」といった無気力状態に陥ることもあります。 - 複雑な心理
「暴力を振るうのは私のことを愛しているからだ」「いつか変わってくれるのではないか」との思いから、被害者であることを自覚することが困難になっていることもあります。 - 経済的問題
夫の収入がなければ生活することが困難な場合は、今後の生活を考え逃げることができないこともあります。 - 子どもの問題
子どもがいる場合は、子どもの安全や就学の問題などが気にかかり、逃げることに踏み切れないこともあります。 - 失うもの
夫から逃げる場合、仕事を辞めなければならなかったり、これまで築いた地域社会での人間関係など失うものが大きいこともあります。
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暴力が被害者に与える影響
被害者は暴力により、ケガなどの身体的な影響を受けるにとどまらず、PTSD(post-traumatic stress disorder :外傷後ストレス障害)に陥るなど、精神的な影響を受けることもあります。
※PTSDとは、地震や台風といった自然災害、航空機事故や鉄道事故といった人為災害、強姦、強盗、誘拐監禁などの犯罪被害等の後に生じる特徴的な精神障害ですが、配偶者からの繰り返される暴力被害の後にも発症することがあります。
症状の具体例
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- 自分が意図しないのにある出来事が繰り返し思い出され、そのときに感じた苦痛などの気持ちがよみがえる
- 体験を思い出すような状況や場面を、意識的または無意識的に避け続る。
- あらゆる物音や刺激に対して過敏に反応し、不眠やイライラが続いたりする
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暴力が子供に与える影響
暴力を目撃したことによって、子どもに様々な心身の症状が表れることもあります。また、暴力を目撃しながら育った子どもは、自分が育った家庭での人間関係のパターンから、感情表現や問題解決の手段として暴力を用いることを学習することもあります。
DV加害者に一定のタイプはない
暴力を振るう加害者については、一定のタイプはなく、年齢、学歴、職種、年収に関係がないといわれます。人当たりが良く、社会的信用もあり、周囲の人からは「家で妻に対して暴力を振るっているとは想像できない」と思われている人もいます。
加害者の中には、家庭という密室の中でのみ暴力を振るう人もいますが、普段から誰に対しても暴力的で、見知らぬ人に対しても言いがかりをつけて暴力を振るう人もいます。 また、アルコール依存や薬物依存、精神障害等が関連して暴力を振るっていると考えられる人もいます。
加害者が暴力を振るう理由は様々あると考えられますが、その背景には社会における男尊女卑の考え方の残存があると言われています。