精神的暴力

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目次

精神的暴力とは?

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精神的暴力(虐待)とは、著しい心理的外傷を与える言動(言葉の暴力、恫喝、無視、拒否、自尊心を踏みにじる行為など)を行うことを指し、モラルハラスメント(以下「モラハラ」と言います)と呼ばれたりもします。

精神的な暴力の結果、 PTSD(外傷後ストレス障害)に至るなど、刑法上の傷害とみなされるほどの精神障害に至れば、刑法上の傷害罪として処罰されることもあります。精神的暴力の具体例としては以下のような行為が挙げられます。

  • 大声でどなる
  • 「誰のおかげで生活できるんだ」「かいしょうなし」などと言う
  • 実家や友人とつきあうのを制限したり、電話や手紙を細かくチェックしたりする
  • 何を言っても無視して口をきかない
  • 人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言ったりする
  • 大切にしているものをこわしたり、捨てたりする
  • 生活費を渡さない
  • 外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする
  • 子どもに危害を加えるといっておどす
  • なぐるそぶりや、物をなげつけるふりをして、おどかす

精神的暴力の体験談

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毎日のように、「能なし」というようなことを、「お前は何をしても稼げないんだ。偉そうなことを言うな」というようなことを言うんです。何かトラブルがあったら、「お前はアホなんだから」というふうに。けっこう自信をなくしましたね。(20代)

一切、外と連絡をとれないようにされていました。自分が出掛けている間は、私に携帯電話を持たせて、「今どこにいるんだ」と四六時中監視する。約束した時間に家に戻らないと、「浮気していたんじゃないか」「誰と会って、どういう話をしたんだ」と疑う。そういうことが、もう毎日で。子どものことで学校に行ったり、子どもを公園に連れて行きたいというのも一切だめですね。とにかく動きを全部、封じられるということが、ずっと続きました。(30代)

うちの場合は、何よりもこの「言葉の暴力」がひどかったのです。私の成育歴や家族のこと、私の実家の仕事のことなどを悪く言ったり、私の欠点について延々と説教するとか・・・。
自分が疲れ切って何を言ってるのかわからなくなるまで、子どもも含めて、何時間でも人を拘束して、ひどい言葉を言い続けるということが、しょっちゅうありました。(50代)

新聞の勧誘が来て話しただけでも、その人が帰った後、「やつと昼間、何かあっただろう」と言われたり、よそから電話が来ると、外線を聞いて「誰からの電話だ」と、言われたり・・・。
ちょっとごみ出しに行っても、「子どもを連れて行け」って言うんですよ。私が1人でごみを置きに行くと、また確かめに行くんです。(40代)

「拳銃だって何だって買えるんだぞ」というようなことを言って、脅かすんです。1度「怖い」と思うと、何をやられても怖くなっちゃうんですよね。監視しているから、逃げ出すこともできないし、子どももいたし。(30代)

私の実家に「火をつけて、車で突っ込むぞ」「めちゃめちゃにしてやる」ということは、暴力のたびに怒鳴っていました。(50代)

生活費として、光熱費分ぴったりのお金はくれるんですけど、食費やそのほかのお金はくれない。光熱費の領収書とぴったりのお金しか、くれない。食費は、自分が独身の時に貯めていた貯金で、まかなっていました。(20代)

1ヶ月数千円しかもらえなくて、「居候だ」と言われました。「私が働いて、そのお金全部渡してるでしょ」と言っても、「家の中では何もしないから、居候だ」と言われました。(40代)

全部管理されていて、お金も一切持たせてもらえなければ、着るものについてもまったく自由がない。
相手の都合のいい時だけ、私に「何か好きなものでも買え」と言ってお金をくれるけれども、私の自由になるお金は何もない。(20代)

 

モラルハラスメントの加害者の特徴

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ここでは日々夫婦問題の相談を行う私のモラハラに関する考えや対処の実情をお話ししていきましょう。

私は、離婚相談の現場では「被害者の表現はオーバーになりがち」という点に注意し、一方からだけ話を伺う場合は「被害者がどう感じたか」より「客観的事実」を具体的に聞き、正確な事実を把握するよう心掛けています。

相談では「控えめに考えても相談者は精神的暴力の被害者だ」と感じるケースが多数ある反面、相談者の話し方・内容・表情等を踏まえると、反対に相談者に加害者の側面を感じるケースも多々あります。

加害者の疑いがある人物には、様々な特徴や傾向がありますので、以下にその具体的な内容を掲げます。

  • 悪い結果は全部他人のせいにする(責任転嫁)
  • 必要以上に他人の評価を気にする
  • 容姿・能力・失敗を非難する
  • 性格・価値観・頑張りを認めない
  • 勝ち負けにこだわり、自分を大きく見せようとする
  • 自分が全て正しいと思っている
  • 自分が被害者だと言い張る
  • 行動を制限する、他人の権利を認めない
  • 自分がされることには敏感だが、自分がすることには鈍感
  • 過激な攻撃性
  • 相手の感情を理解できない

必要以上に他人の評価を気にする

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加害者には「必要以上に他人の評価を気にする」という傾向があります。そしてこの傾向は派生的に以下のような同種・類似の特徴を生み出します。

  • 必要以上に他人の視線が気になる
  • 警戒心が強い
  • 秘密主義
  • 肩書や権力に弱い

正直なところ、私が夫婦問題の相談を行う中でも、加害者資質が強く疑われる方には、これらの共通点が多々見受けられました。とはいっても、このような特徴がいくつかあるだけで、精神的暴力の加害者と決めつけるべきではありません。

なぜなら、程度の差はあれ、誰でもこのような傾向はあるものだからです。本当にモラハラの加害者かどうかは、他の特徴や継続性等も踏まえ、慎重に判断すべきでしょう。

ただ、モラハラの加害者かどうかは別として、前述の傾向・特徴が、円滑な間関係の構築に弊害となることは確かです。

夫婦の相談を受ける際でも、必要以上の警戒心を持つ方は「本当のことを言うと悪い印象を持たれる。」と考え、自分に不利と思われることは言わず、有利なことはオーバーに話しがちになったりします。

たとえば「自分が他人を殴ったら、反対に殴り返された」というのが真相なのに、自分が先に振るった暴力(自分に不利なこと)を話さず、「暴力を振るわれたこと(自分に有利なこと)」だけを話す、というような行動です。

また、肩書や権力に弱い傾向は、時として正常な判断を狂わせる要因にもなりがちです。たとえば、結婚に際して配偶者の経済力ばかりに目が行き、結婚後に性格的な相性に悩んだり、仕事が忙しくて家族の時間が少ないとか転勤が多いと不満を漏らしたりと、表面的な肩書や権力に惑わされて結婚の本質を見失っている方は多いと言えます。

容姿・能力・失敗を非難する

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加害者は、誰でも言われたら傷つくであろう「ブス」「チビ」「ハゲ」「デブ」「キモイ」「生理的に受け付けない」といった容姿等の非難も平気で言うなど、言われる人の気持ちなどお構いなしに容姿等を笑い話にしてしまう、デリカシーの側面があります。

また、加害者は被害者の些細な失敗を何十倍にも増幅させ、さも極悪人であるかのように過剰に非難する傾向があります。「何でこんな簡単なこともできないの?!」などと、あたかも取り返しのつかない失敗をしたかのように能力や失敗を激しく非難します。

配偶者が改善の努力をしても、その姿勢を評価することは決してありません。反対に「ダメなやつはいくら努力してもダメだ」などと、立ち直れなくなるようなことを平気で言ったりします。

性格・価値観・頑張りを認めない

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モラハラの加害者(以下「加害者」と表記します)は「非難すべきほどではない配偶者の性格や価値観」を執拗に非難します。

たとえば「男は積極的に新しいことにチャレンジする精神が必要だ」という考え方の加害者は、配偶者が家でくつろいでいるだけで「ダメな配偶者」と決めつけます。

「平日仕事を頑張っていると、休日はゆっくりしたいだろう」といった具合に、配偶者の立場に立って物事を考えようとしたり、思いやりの気持ちを持つことができません。

配偶者が「休日くらい子供たちと遊んでやろう」と、良かれと思って子供と遊んでも「子供と遊んでばかりで役に立たない!」と非難します。

また、加害者は、配偶者が毎日仕事を真面目に頑張っていても「当たり前」と言って評価しないどころか「やろうと思えばもっと働ける。他には本業の後にバイトをしている人もいる。だけどあなたは本業だけ。やる気が無いとしか思えない。」などと言い、更には給料の額に対しても「大した稼ぎもないくせに!」などと非難したりもします。

勝ち負けにこだわり、自分を大きく見せようとする

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加害者は、自分が特別な人間だと思い込む傾向があり、やたらと勝ち負けにこだわり、自分を大きく見せようと様々な自慢やアピールをします。

たとえ実績がなくても自分を偉く見せようと「私は~もできるし~もできる。」などと自慢し、豊富な知識のアピールのためにわざと難しい専門用語を使ったりもします。

力や能力のある人と関わることで、自分も同列の世界にいるかのような安心感や満足感を得る傾向もありますので、そういった人には積極的に関わろうとします。

更に、力や能力のある人との親密な関係をアピールすることが、無意識に自己評価のアップに繋がると考えているので「親しい友人に○○大学の教授がいる」とか「上場企業の社長の娘の知り合いがいる」などと、積極的に関係者の肩書をアピールします。

離婚の話し合いの際には「自分には親しい弁護士がいる」といった言葉で牽制する人は結構いますが「頼んだら何でもしてくれる弁護士だ」とか「戦ったら絶対に勝てる」などと、必要以上に弁護士との親密な関係をアピールするなら、加害者資質を疑わざるを得なくなるでしょう。

なにがなんでも相手方を支配下に置こうとする加害者は、信じるに値する法的な根拠や裏付け示さないまま「裁判をしたらあなたは絶対に負ける」「負けて大金を払うことになってもいいのか?」などと言葉で脅したりもしますので注意が必要です。

自分が全て正しい

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加害者は「自分は全て分かっている」「自分の考え方は正しい」と信じ切っているので、他人のアドバイスはほとんど受け入れず、自分の短所・欠点・失敗を認めることはほとんどありません。

誤りの指摘を極端に嫌うため、他人からアドバイスを受けても謝りの指摘と感じれば、その人を敵とみなして攻撃したりもします。

全て分かっているという自信と勝ち負けにこだわる性分から、他人のアドバイスには「そんなことは知っている」といった反応を示すことが多いのも特徴です。

加害者は、自分の考えや価値観に確信めいた自信を持っており、自分と異なる他人の考えや価値観は絶対に認めません。厄介なのは、自分が正しいと思っている考えや価値観を「教育」や「指導」と称して他人に押し付ける点です。

加害者は「あなたがやっているのは教育でも指導でもない。虐待です。なぜなら~という行為も~という行為も~だからです。」といった具合に、問題点や根拠などを具体的に分かりやすく説明されたとしても、絶対に受け入れません。

なぜなら、加害者にとって大切なのは真理ではなく、勝利して支配することだからです。

指導や教育と称して虐待する傾向は、夫婦関係だけでなく、親子関係・親族関係・友人関係・職場の人間関係など、様々な人間関係において現れます。

加害者は本能的に弱い者から順番に攻撃する傾向があり、配偶者からの強い反撃を感じた場合は、標的を弱い子供に移したりもしますので注意が必要です。

加害者は他人と話す時、自分の考え方以外に正しい答えはないかのように「言い切る」あるいは「決めつける」という特徴があります。

たとえば「ギャンブルをする人は金銭感覚に問題がある」「太っている人はだらしない」「中国人は外国人は嘘つき」などと、必ずしもそうとは限らないことでも自信たっぷりに言い切り、その他の意見が出辛い雰囲気を作り出します。

たとえ他の意見が出ても、自分が正しいと信じ切っている加害者は他人の考えや多様性を認めませんので「分からないなら教えてやる」とばかりに、無理やりにでも同意させようとします。

このような態度が続き、加害者の周りには他の意見を言う人がほとんどいなくなると、加害者は「自分の考えを他人に理解させた結果だ」と自信を深め、モラハラ王国の王様にでもなったかのように問題行動をエスカレートさせていく、という悪循環になります。

一旦加害者の王様的な態度や生き方が慢性化してしまうと、これを止めることはほぼ不可能です。暴君と化した加害者は、自分の立場を守ったり他人を服従させる目的のためであれば、刑事罰対象の犯罪を犯したりもします。

ですから、不幸にも暴君化した加害者と関わってしまった方は、信頼のおける第三者に相談の上で、慎重に加害者と距離を置く手順を計画していくべきでしょう。

自分が被害者だと言い張る

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加害者は「自分がされること」にはとても敏感なので、他人の些細な言動を大きく取り上げ「やる気がない」「人の気持ちが分からない」「酷いことを言われた」「自分の話を聞かない」などと一方的に非難します。

成熟した大人なら相手を非難する前に「自分にも何か良くないところがあったかな?」と考えるものですが、加害者の出発点は「全て自分は正しい」なので、それまでの経緯や自分の言動などは無視します。

自分を被害者と信じて疑わない加害者は、周囲の人に被害者だと信じてもらうため、事実を歪曲したり嘘を交えて話すこともあります。

私が行う離婚相談の現場でも「小さな出来事を大きく取り上げて一方的に非難しているな・・・」と感じられることもありますが、そういった話は正確に聞けば聞くほど、相談者の加害者資質が浮き彫りになってくることが多いのが実情です。

たとえば「夫は私が悩んでいるのに話を全く聞いてくれない」と悩む妻のケースでは、正確に事情を伺うと「夫はそれ以前に合計何十時間も悩みについて話したが、妻の一方的な話が翌日3時頃まで続く日が10日も続き、体が持たなくなってきたのでそれ以上の話には応じられないと思った。」という背景が浮き彫りになってきたとします。

この場合は、妻の「夫が全く話を聞いてくれない」という主張は、自分の「納得がいくまで話に応じてくれない」という感情には合致していても「夫は10日続けて深夜3時まで相談に応じた」という客観的事実には合致していない、ということになります。

この時、夫に反論の場があればよいのですが、多くは(客観的事実とは異なる)妻の感情的な言葉や主張が周囲に拡散されてしまうため、事態はより混迷を深めていきます。

少し脱線しましたが、感情的な話と客観的事実の区別もないまま、些細な出来事を大きく取り上げて一方的に非難し、自分がその被害者だと主張するような人は、加害者の資質が疑われますので注意しましょう。

行動を制限する、他人の権利を認めない

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意のままに他人をコントロールしようとする加害者は、他人の行動を制限したり、権利や権限を奪おうとする傾向があります。

私が行う離婚相談の中でよくあるケースは、家族の財産管理について特別な理由もないのに、配偶者の財産管理権を制限・剥奪する、というものです。

たとえば「適切に財産の管理や運用ができないお前に管理を任せるわけにはいかない。」などという、あたかも正当であるかのような理由を述べて、配偶者の財産管理に関する権利を奪ったりします。

配偶者がこれに異を唱えても「お前は慎重に検討もせず、他人の言葉に騙されて無駄遣いばかりしただろう。失敗を繰り返すお前がお金を管理する必要は無い!」などと言って、預貯金の処分権や収支明細を閲覧権を認めなかったりもします。

配偶者の行動が全て把握でないことに不安を感じる加害者は、妻が外に出て働くことや友人との交流を制限しようともしますが、前述した預貯金の利用制限は、配偶者の自由の制限が目的の一つと考えてよいでしょう。

自分がされることには敏感だが、自分がすることには鈍感

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加害者には「自分がされることには敏感だが、自分がすることには鈍感」という特徴があります。

たとえば、加害者は常に「自分が法律」というくらいに自己中心的な態度をとりますが、自分の自己中心的な行動には全く気付かないまま、反対に自分の考えに従わない他人を「自己中」と非難したりします。

加害者は、相手の立場になって物事を考えるのが苦手なので、厳しい言葉で非難されたら相手がどれだけ傷つくかなど考えないまま感情的に攻撃します。

本来、自分への攻撃に敏感な加害者なら「自分が嫌なことは他人も嫌なはず」と考えそうなものですが、加害者はそんな公平な考え方はできません。だから、自分は他人に優しくしてなくても平気で他人に優しさを要求できたりするのです。

過激な攻撃性

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加害者は異常なくらいに勝ち負けにこだわることから、周りの人間を敵か味方に分ける傾向があり、その区分ができるまでの間は、表面的には友好的に振る舞いながらも強い警戒心を持って接し、敵か味方かを慎重に判断します。

高い能力・地位・名声・財力などがあって自分に反抗的でない人は本能的にメリットのある人、つまり味方と判断して迎合した態度をとりますが、一旦敵とみなすと様々な方法で攻撃します。

加害者の平常時の攻撃は、密室性のある陰湿な中傷・罵倒・非難・無視などですが、ひとたび怒りが頂点に達すると、手当たり次第に物を投げつけたり、感情的な言葉を大声で叫び続けたり、加害者自身もコントロールできなくなるほどの興奮状態に陥ったりもします。

過激な攻撃の裏側には相応の理由があるのかといえば、些細な問題や怒るほどではない問題が大多数だったりしますので、この点からも加害者が「勝利して支配すること」を目的にしていることが分かります。

加害者の攻撃の態様は一般的に「表面的には対話をしているようだが、実際は相手の言い分は一切聞かず、一方的かつ威圧的に自分の主張や結論を押し付ける。」というものですが、このような攻撃が慢性化すると更に攻撃は激しくなり、身体的な暴力に発展することもあるので注意が必要です。

相手の感情を理解できない

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加害者は、自分がされることには敏感なので、些細な他人の言葉にも「傷いた!」などと言って大騒ぎしますが、反対に自分が同様の言葉で他人を傷つけても平気だったりします。

些細な言葉にも敏感な加害者なら他人の痛みも人一倍理解できそうにも思えますが、加害者は相手の立場に立って物事を考えられないので、他人に同情したり共感することができません。

このことから一般的に「加害者は自分のすることには鈍感」と言われたりもしますが、加害者は他人を傷つけると知っていても、あえて支配とコントロールを目的に攻撃する側面がありますので、鈍感というよりは「冷酷」に近いものがあるように感じられます。

他者への責任転嫁

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加害者の基本スタンスは「自分は全て正しい」なので、他人からどんな指摘を受けても自分の欠点・過ちなどを認めません。悪い結果は全て他人に責任転嫁し、自分には欠点も過ちも責任も無いというスタンスを貫きますから、自分自身の改善を考えることはまずないと言っていいでしょう。

加害者は、何でも他人のせいにする方法や技術を過去の人生経験から習得していることが多いため、巧みな言動を用いて他人に責任を押し付けます。

モラハラには、被害を受け続ける日常が慢性化すると、被害を自覚しづらくなる側面があります。モラハラにおける責任転嫁の具体例を下記に掲げます。

悪い結果は他人のせい

加害者は、日常で発生する様々な悪い結果を他人のせいにする傾向があります。他人への言い方は「~という悪い結果はお前が~をした(~をしない)からだ」といった形ですが、その具体例を見ていきましょう。

子供が反抗するのは、夫が子供との時間を作らないからだ

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子供が反抗する原因の一つに「希薄な親子関係」がある可能性は否定しません。しかし、一般的には様々な問題が絡み合っていることが大多数ではないでしょうか。

子供の年齢が小学校高学年から高校生くらいなら、発育上の過程である反抗期かもしれませんし、勉強・クラブ活動・学校での人間関係等で悩んでいる可能性もあります。

仮に、父子間のコミュニケーション部族が原因の一つにあるとしても、夫も仕事で帰宅が遅くなるような場合には、夫を責めるのは酷といえるケースもあるでしょう。

そのような具体的な考察もなく、夫婦間・親子間でじっくり話す機会を設けるでもなく、短絡的に悪い結果の責任を押し付けるようなら責任転嫁と言われても仕方ないでしょう。

貯金できないのは妻が浪費するからだ

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夫婦の一方が浪費をすると確かに貯金は難しいでしょう。しかし、そもそも浪費の基準はどこにあるのでしょう。

浪費かどうかの区別は極めて難しい問題です。他人には浪費と思える買い物でも、本人は価値ある消費と感じていることはよくあります。

消費した金額が家計を破綻に陥れる程度なら浪費といえるでしょうが、そうでないなら浪費とは言い切れません。基本的に価値観は皆違います。

嫌いな人にとって酒・タバコの購入は浪費と感じますが、好きな人にとっては当然価値ある消費です。同様に、外に出るのが嫌いな人にとって海外旅行は浪費のように感じられますが、好きな人には価値ある消費と感じられるものです。

もしも些細な消費を大きく取り上げて「浪費だ」と非難し、貯金ができない原因だと主張するようなら、ここでいう他者への責任転嫁といえるでしょう。

自分が事故をしたのは、車にテレビを設置した夫のせい

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車の運転中にテレビを見ていて事故をした場合、普通は自分の行動やミスを反省したり悔やむものですが「自分は全て正しい」と考えている加害者は、強引にでも失敗を他人のせいにしようと「車にテレビを設置した夫が悪い」などと、夫に事故の責任を押し付けようとしたりします。

テレビを自由に消すことのできる中で妻がテレビをつけていたなら、妻に主たる責任があることは明らかなのですが、加害者は「あなたがテレビをつけようと言った!私は言っていない!」「テレビがあったら誰でも見たくなるでしょう!」などと、当初はテレビに喜んでいたにも関わらず、平気で責任を夫に押し付けたりします。

こういった人は、他の場面でも「最初は同意していたのに後から文句を言う」というパターンを繰り返していたりもしますので、類似の事例が多数ある場合は、ここでいう責任転嫁の可能性が高いと考えて良いでしょう。

~をしたのは他人が悪いから

普通は自分の行為に基づいて悪い結果が発生したら自分に原因があると考えるものですが、加害者は「自分の行為に基づいて悪い結果が発生するとすれば、それは他人に問題があったからだ」と考える傾向があります。

他人への言い方は「~(問題行為)をするのは、お前が~をした(~をしない)からだ」というものですが、ここではその具体例を見ていきましょう。

俺が不倫をしたのはお前が俺を大切にしないからだ

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夫婦の一方が不倫をした場合、不倫をした側が責められたり謝る立場になりそうなものですが、私が離婚相談を行う中で不倫をした側の配偶者から話を伺うと、多くの方が「不倫が許されないことは分かっています。

でも・・・私だけが悪いと言われるのだけはどうしても納得いきません。なぜなら・・・」と様々な理由や経緯を話し始めます。

聞けば、不倫をした側にも(夫婦関係は実質的に破綻しているなど)相応の理由があったと認められたりもすることも多いのですが、モラルハラスメントの加害者が行う「責任転嫁」はこれらとは別次元の問題と考えるべきでしょう。

加害者の目的は真相の究明ではなく「威圧してコントロールすること」なので、相手を納得させてコントロールできるなら不倫をした理由はどうでもよいのです。

ですから、加害者が主張する不倫をした理由は、具体的に検証すると、明かに理不尽と考えられるものがほとんどだったりします。

ギャンブルで借金をしたのは、お前が十分な小遣いを渡さないからだ

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ギャンブルのお金を配偶者に何の相談もなく借金することは、夫婦の信頼関係を破壊する行為といえます。

そして、こういった場合に「お前が十分な小遣いを渡さないからだ」などと、言い訳にならない言い訳をして追及を逃れようとする者は結構いますが、モラルハラスメントの加害者が行う責任転嫁は、表面的には同じ言葉でも中身は違うと考えた方がよいでしょう。

加害者は「自分が上で配偶者が下」という支配構造を前提に、上から目線で「分からないなら教えてやる」といった具合に自分の理不尽な主張を押し付けますから、一般的な「苦し紛れの言い訳」とは明かに異なるものと言えます。

外で働くのを認めないのは、お前が浮気をする可能性が高いからだ

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夫婦が生活設計の一環として「夫婦の一方又は双方がどこで働くか」を話し合うのは良いことですが、配偶者の一方が正当な理由もなく他方の勤労の権利を一方的に奪うことは許されません。

この場合は「特別の事情がない限り配偶者の勤労の権利を尊重されなければならない」という前提を夫婦で確認した上で、じっくり「浮気を心配する理由とその心配に配慮した解決方法」を話し合うべきでしょう。

問題は、加害者が支配を目的に他方配偶者の権利を制限しているケースです。モラルハラスメントの加害者は配偶者をコントロールしようと、些細なことを大げさに取り上げて正当な理由に見せかけたりもしますから注意が必要です。

たとえば、妻が同級生の友人男性と昼食を食べに行ったことを取り上げる場合では「夫の俺に何の了解も無く他の男と二人きりで食事に行くなんて、疑われても仕方のないことをしているだろう!お前を愛しているから心配するんだ。そんな俺に配慮する気持ちはないのか?!」といった反論しづらい言い方で、巧妙に責任転嫁をしたりします。

~しないのは他人が悪いからだ

加害者は自分の怠慢が露見しそうになると、必死にその責任を他人になすりつけようとします。基本的な言い方は「自分が~をしない(できない)のは、○○が~したからだ。」といった形ですが、ここでその具体例を見ていきましょう。

俺が仕事をしないのは、お前がやる気を失わせることをするからだ

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加害者は、単なる怠慢で仕事をしない状態が続いても、自分に落ち度や責任があるとは考えませんから、反省どころか「傷つくことを言われた」「協力してくれない」といったように、様々な理由をつけて他人に責任を転嫁したりします。

しかし、誰でも、自分の否定に繋がる言葉は受け入れがたいものです。このような言い訳があったからといって、直ちにモラルハラスメントの加害者になるとは限りませんので、今後は慎重な判断を心掛けていきましょう。

私が片付けをしないのは子供がすぐに部屋を散らかすからだ

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加害者は、やろうと思ったらすぐにできる片付けでも「しないのは~が~するからだ」などと様々な理由を全て他人に責任を転嫁します。

しかし、責任転嫁の発言が多少あっただけで、直ちにモラルハラスメントの加害者だと決めつけるべきではありません。発言の裏に支配やコントロールといった目的があるのかどうか。これは表面上の言葉だけでは判断しづらいところですので、慎重な検討が必要です。

資格の勉強ができないのは、夫が家事に協力してくれないから

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思い通りにならないことがあると、つい何かのせいにしてしまいたくなる「弱さ」は、人間なら大なり小なりあるものです。

ここで挙げた「資格に挑戦できないのは、妻が家事に協力してくれないから」という言い分も、いわば人間の弱さから出てしまう言い訳のようなもの。

従って、この言葉だけで加害者と決めつけるべきではありません。これも発言の裏に支配やコントロールといった目的があるのかどうか。この点を慎重に検討していきましょう。

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