離婚協議書・公正証書
離婚協議書とは?
離婚協議書は、夫婦が話し合いによって離婚する場合に、慰謝料・財産分与・養育費・親権・面会交流等を取り決めた書面(契約書)のことです。
離婚協議書を作らなくても、離婚届を提出すれば離婚は認められます。 手続が簡単なのは良いことですが、簡単に離婚が認められることによる問題点をよく考えておかなければなりません。
日本における離婚の要件は”離婚の合意”と”親権者の決定”の2点だけです。逆にいえば「この2点以外、何も解決していなくても離婚は認められる」ということです。
夫婦の財産について適切な財産分与(分配)はできましたか。浮気・暴力・浪費などで離婚する方は慰謝料の問題を解決しましたか。子供の養育費の取り決めはできましたか。取り決めた内容は公正証書にしましたか。
一番大切なのは養育費の問題です。役所は養育費の取り決めることが大切と知っていながら「後のことは知りません」と全ての責任を当事者に丸投げしています。
要するに「自分の権利は自分で守らなければならない」ということです。「誰も自分の権利は守ってくれない」ということです。ここで登場するのが、自分の権利を守るための離婚協議書です。
離婚協議書という名前自体にはそれほど大きな意味はありません。意味不明のものでなければ「念書」でも「合意書」でも「確認書」でも構いません。大切なのはその中身です。
二人の間で交わした約束・契約・合意を書面に”証拠”として残すことによって自分の権利を守るのです。
公正証書
離婚協議書に養育費・慰謝料・財産分与などの定期的な支払いに関する取り決めが含まれているなら、その取り決めは必ず「公正証書」にしましょう。
公正証書は、公証役場の公証人が作成する公文書です。離婚の合意事項、すなわち「親権・養育費・財産分与・慰謝料・面会交流」等の取り決めを、公正証書にしたいと希望される方は非常に多くいらっしゃいます。
なぜ多くの人が公正証書の作成を望かといえば、それだけの法的効果があるからに他なりません。
まず、作成した公正証書の「原本」は公証役場で保管されるので、紛失や変造のおそれがありません。信頼度の高い公証人が作成した公正証書に記載された内容は一般な文書より証明力が高く、裁判でも強い証拠能力を発揮します。
また、公正証書は、裁判の確定判決と同等の効力があるので、不払いの際には、直ちに債務者(支払義務者)の財産(預貯金・給料・車・不動産・生命保険・債権・その他の財産等)に対して強制執行をすることができます。
お金を支払う約束を破ると直ちに強制執行を受ける公正証書を作ると、債務者に自然と「強制執行は嫌だ!」「キチンと払わなければ!」という心理が芽生え、間接的に不払いの確率を低くすることができます。
債務者とすれば何か怖い気もしますが、金銭の支払いという重大な義務を負う上ではやむを得ない制約をと考えるべきでしょう。
なお、公正証書の作成は全国どこの公証役場でも行うことができます。離婚する当事者が公証役場で手続きをするのが原則ですが、行政書士などの第三者が手続きを代行することができます。従ってお客様の住所地は関係ありません。
ただ、離婚の公正証書作成の手順や要件は、公証役場ごとに若干の違いがあり、全ての役場で代理人による手続きができるわけではありません。
この点、当事務所は代理人による手続代行の体制を整えておりますので、お仕事の都合、あるいは配偶者と顔を合わせたくない、といった心情により、手続きの代行をご検討されている方はお気軽にお問い合わせください。
なお、公正証書を作成する際には、公証役場に一定の手数料を支払う必要があります。金額は契約で定める離婚給付金の額(慰謝料・財産分与・養育費などの金額)によりますが、多くは2~4万円程度の金額です。
離婚協議書を作成する意味
離婚協議書に限らず、人間同士の合意・約束は全て”契約”です。離婚の際には、親族の誰からお金を借りた、いくら返した…などの契約書を取り交わしていないお金の清算が必要なケースもあるでしょう。
そんな時は、離婚協議書を作成する際に、その権利関係(貸主・借主・金額等)を明らかにし、今後はいつ、誰が、どんな方法で返済するのか、返済が滞った時の違約金・延滞金はどうするのか、保証人はつけるのか等、できるだけ細かな点まで整理しておく必要があります。
離婚という夫婦関係の清算の場合は、感情のもつれもあり、一度約束したことを平気で破ることが多々あります。
「言った」「言わない」の争いを避けるためにも、正式な離婚協議書を交わすまでの間に、最低限決まったことだけでも「契約書」として残しておきたいものです。