浪費

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浪費かどうかの判断は難しい

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夫婦間で最も大きく取り上げられる金銭問題は浪費でしょう。しかし、普通の夫婦が悩む配偶者の浪費問題の多くは、価値観の相違とコミュニケーション不足が原因ではないでしょうか。

浪費は「無駄使いをすること」ですが、そもそも無駄使いかどうかの価値判断は個人ごとに異なります。夫にとっては「価値ある消費」でも、妻にとっては「無駄使い(浪費)」と感じられるようなケースはいくらでもありますが、一体どのような基準で浪費かどうかを判断すべきなのでしょうか。

まず、一般的な用語としての浪費と、離婚原因慰謝料の原因となり得るほどの浪費は区別する必要があります。

たとえば、夫がパチンコで一日に3千円使い、夫婦共に「無駄遣いをした」と感じたとしても、離婚や慰謝料が認められるほどの浪費とは認められません。

なぜなら、一般的な用語としての浪費と、離婚や慰謝料の原因となり得るほどの浪費は全く基準が違うからです。

多くの人は、この区別が区分に悩むと思いますので、まずは「離婚原因や慰謝料の原因となり得るほどの浪費」がどの程度の消費を指すのかを具体的に考えていきましょう。

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判断の基準となる経緯・金額・資金使途・所得・保有財産

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離婚や慰謝料の原因となる得る浪費に、明確な基準はありません。裁判所は、それまでの経緯、金額、頻度、資金使途、所得、保有財産など、様々な事情を考慮した上で総合的に判断します。

たとえば、消費金額が過大かどうかは、当事者の所得や貯蓄との対比を考える必要があります。月10万円を勝手にギャンブルに使っても、月収500万円なら浪費に当たらず、月収15万円なら浪費になる、と判断される可能性はあり得ます。

また、その消費で借金が形成されている場合は浪費と判断されやすく、逆に借金までしていない場合は浪費と判断されにくいと考えられます。

資金使途は、ギャンブル・風俗代・飲み代・趣味に費やすお金・旅行代などの娯楽費・遊興費は浪費と認められやすく、食費・水道光熱費・通信費・消耗品費・通勤のガソリン代・子供の学費などの、生活をする上でやむを得ないと考えられる範囲の消費は、浪費とは認められにくいでしょう。

ただし、不必要かつ過大な消費は別です。毎日外食で高額を消費したり、毎日誰もいない時間帯にエアコンを付けっ放しにしたり、携帯電話の通話・ゲーム・通信料金等で過大な消費をすることも浪費と認められる可能性があるので注意しましょう。

その他、浪費かどうかの検討と共に「信頼関係を壊す行為かどうか」の検討も重要です。たとえば、金額自体は家計を破綻に陥れる程度ではなくても、決して小さいとは言えない消費を勝手にしたら、夫婦の信頼関係を壊す行為だとして非難される可能性は出てきます。

たとえば、高価な家財家具・家電製品・自動車・ブランド品などの購入は、直ちに家計を破綻に陥れる過大な消費とは言えませんが、配偶者の高価な物品の購入は「共有財産の減少」という形で他方配偶者に影響を及ぼしますので、夫婦の信頼関係を保つため、原則として「配偶者と協議して結論を出すべき」と考えるべきです。

もしこの原則に反して配偶者の一方が勝手に高価な物品を購入すれば、他方配偶者は検討の機会が与えられないまま共有財産の減少という結果を押し付けられることになりますので、信頼関係を壊す行為と非難されても仕方ないといえるでしょう。

これと同様に、金額的には家計を破綻にさせるほどでなくても、偽造した給料明細で配偶者を騙してギャンブルや風俗に多額を費やしていたりするなど悪質性が強ければ、夫婦の信頼関係を壊す浪費があったとして、離婚や慰謝料の請求が認められる可能性は高いといえるでしょう。

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浪費癖の改善には周りの人の適切な関与や協力が必要

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配偶者の浪費を前に、離婚か修復かで悩む方は多いと思いますので、夫婦問題の相談を行っている私から実務上の雰囲気をお話しさせていただきます。

浪費癖に改善の可能性を見いだせるかどうかは「本人の姿勢」と「周りの人の関わり方」によって、大きく変わってきます。

まず、浪費をする人(以下「浪費者」といいます)に、反省と改善の意思がある場合です。本人に反省と改善の姿勢があるなら問題ないようにも思えますが、現実はそう甘くはありません。

浪費者の浪費は「癖」のようなものですから、無意識のうちに発生する現象に近いものがあります。

浪費は「本人の性格・考え方・意識の問題」だとして放置されがちですが、病気と同様の症状と考えれば、本人に対する感情も対策も変わってくるのではないでしょうか。

たとえば、浪費者が「ギャンブルは二度としない!」という約束を破った場合でも、それが「本人の自覚の問題」と考えれば「自覚が足りない」と浪費者を責める気持ちになりますが、「病気に近い症状」と捉えれば本人を責める気持ちにはなりにくいはずです。

実際、私が関わった問題の多くも、浪費者の状況を正確に把握した上で、関係者の考え方や関わり方を修正すれば、致命的な結果に至らずに解決できるものでした。

たとえば、深刻な浪費に家族が巻き込まれる恐れがある場合でも、最初に最悪の状況を受け入れる覚悟さえできれば、大部分の問題は片付きます。

浪費者が言うことを聞くなら、浪費者の財産を代わりに管理して改善してあげればいいし、浪費者が勝手に浪費や借金をする可能性があるなら、それを制限する手続きをすればいいだけの話です。

浪費者が言うことを聞かずに破産の可能性がある場合でも、残りの財産さえ諦めれば命まで取られるわけではありません。

破産しても、命があれば夫婦の関係も親子の関係も維持できます。経済的に一線を引いていれば、夫の借金を妻がかぶることもありません。

夫の所得や財産に依存せず、自分の力だけで生活する覚悟さえできれば、夫と暮らしていても事態は冷静に見つめられるはずです。そうなれば、配偶者の一挙手一投足に悩むことはほとんどなくなります。

仮に、別居や離婚をする場合でも「最悪の状況から脱するため」と考えれば、これから運気は上がる一方と考えられますから、特別に悩む必要はありません。人事を尽くして天命を待つ、というだけの話です。

やるべきことをやり、漠然とした不安に悩むことをやめれば、目の前の世界は一気に変わりますので、くれぐれも配偶者の浪費に悩み過ぎて、自分自身を傷つけないようにしましょう。

次は、自分の消費に問題は無いと信じている浪費者のケースを検討してみましょう。このような人は「他人の意見を聞いても無駄」と考えていますから、単純に「本人の姿勢が変わらない以上、浪費癖は絶対に直らない」と考えればいいと思います。

こんなとき周りの親族らは「本人の意識を変えるしかない」と様々な方法で説得を試みたりもしますが、そう簡単に本人の意識は変わりません。基本的に人間は年齢を重ねると、長年の経験から考え方が硬直化していくものです。

もちろん、歳を経るごとに柔軟性を増していくような人もいますが、浪費者の多くはそのような柔軟性は持ち合わせていません。

したがって、親族らがいくら対策を試みても事態は改善しない、という状態が続いているケースが多いのが実情と考えられます。

大切なことは、親族らがそれなりに対策を試みても改善しない場合は「自分たちの力だけでは解決できない」と割り切って、早く改善に導いてくれそうな専門家などに相談することです。なぜなら、浪費癖が改善しないケースの多くは、周りの人間の関わり方に問題があることがよくあるからです。

たとえば、浪費者が目の前で浪費していても「あまり意見を言うと怒るから」と言って黙認していたり、多額の借金が何度発覚しても、「可哀想だから」と言って借金を肩代わりしたり、浪費や借金をする制限する手続きを行わなかったり、世間体を気にして浪費の事実を隠そうとしたり・・・、周りの親族らが良かれと思って行う行動が、浪費癖の改善から遠ざけてしまっている現実があったりします。

浪費癖の改善を図る上では、まず周りの親族らの考え方や行動を変えなければならないケースもありますので、この点はくれぐれも注意しておきましょう。

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浪費者に影響を及ぼす関係者

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浪費が改善するかどうかは、周りの人の関わり方次第で大きく変わってきます。ここでは「関わる人」によってな展望が予測されるかを考えてみましょう。

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浪費者の親族

浪費者の親族は最も身近な存在ですので、浪費の改善を心から望む強力なサポーターになり得る存在といえます。

ただし、本人に対する思いの強さが仇となって、浪費を抑えるどころか反対に助長してしまう危険性も多分に含んでいることに注意する必要があります。

本人の傷を癒すつもりが、実際は単に甘やかして問題行動を助長させる行動を「イネイブリング」といい、これを行う人を「イネイブラー」といいます。

深刻な浪費問題には、親族の中にイネイブラーがいるケースも多いと考えられていますので、ある程度親族が関わっても改善しない場合は、なるべく早く、客観的に判断のできる第三者に相談してみましょう。

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法律的な手続きを行う専門家(弁護士・司法書士・行政書士等)

弁護士・司法書士・行政書士などの法律的な専門家に浪費の相談をすると、何となく法律の力で解決に導いてくれそうな気もしますが、多くの場合はそう簡単には解決しません。

浪費に基づく債務を整理する手続きなら、弁護士や司法書士に依頼して解決を図れますが、「浪費癖を直す」という根本的な問題は、法律の力で解決するのは難しいといえます。

なぜなら、現在の法律は「浪費者は性格に偏りはあっても十分な判断能力を持つので、金銭の使い方に裁判所が介入するのは市民生活に対する過度な干渉となるから不適切だ」というスタンスのため、特別の事情が無い限り、本人の消費を法律で制限することができないからです。

このようなことから、法律的な手続きを行う専門家の多くは、浪費に関する相談を受けると「浪費を原因とする離婚相談」と捉えて対応してしまう可能性があります。

相談者が離婚を決意しているなら力強いサポーターになると思いますが、そうでない場合は、自然と離婚手続きのレールに乗ってしまわないよう注意しましょう。

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カウンセラー

浪費癖の原因が、日常生活における様々なストレスの場合、カウンセラーのカウンセリングによって、浪費癖が改善する可能性はあるでしょう。

ただ、日本の一般的なカウンセリングは、クライアントの話をひたすら聴く手法の「傾聴型のカウンセリング」で、週1回のカウンセリングだと効果が出るまでに2年はかかると言われたりもしますので、即効性は期待できないかもしれません。

とはいえ、浪費という「癖」は、時間をかけて徐々に直していくべき問題と考えられますので、長期戦も視野に入れたカウンセリングは検討した方がいいでしょう。

精神科医

精神科医は、精神に関する病を治すため、医学的な理論に基づいて助言をし、治療に適切と考えられる精神薬を処方してくれます。

精神薬が必ず効くとは言えませんが、少なくとも精神薬の処方は、国家資格者の精神科医しかできませんので、「浪費に関する病気(ギャンブル依存症、買い物依存症など)」の疑いがある方は、積極的に精神科医を受診してみましょう。

ただし、精神科医は精神約のプロではあっても、心の問題を扱うプロではないので、個々の細かな問題の相談やカウンセリングは基本的に行いません。

その点を踏まえてカウンセラーのカウンセリングと共に、精神科医から処方された精神薬によって上手く改善を図っていきましょう。

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