病的な性的嫌悪感に関する事例(慰謝料150万) 

病的な性的嫌悪感に関する事実関係

  1. 夫31歳・妻27歳(ともに再婚同士)
  2. 妻は異性に触られると「気持ちが悪い」と言い、婚姻当初から別居に至るまで性交渉を拒否し続けていた。
  3. 性交渉がないため、喧嘩が絶えず、夫婦生活が破綻していた。
  4. 妻は、精神的な面で性交渉に耐えられない、と医者から診断されていた。
  5. 妻は、前夫との婚姻の時も性交渉を拒否しており、慰謝料100万円を支払って別れていた。
  6. 夫婦は結婚後9ヶ月で協議離婚をし、夫は妻に対して慰謝料の請求をした。

裁判所の判決
妻の男性との性交渉に耐えられない性質から来る夫との性交渉拒否により両者の融和を欠いて破綻するに至ったものである。

婚姻は一般に子孫の育成が重要な目的であることが常識であって、夫婦間の性交渉もその意味では通常伴なうべき婚姻の営みであり、当事者がこれに期待する感情を抱くのも極当たり前の自然の発露である。

しかし妻は夫と婚姻しながら性交渉を全然拒否し続け、「気持ち悪い」というような言動・行動に及ぶなどして婚姻を破綻させたのであるから、夫に対し、不法行為責任に基づき、精神的苦痛を慰謝すべき義務がある。

夫に認められるべき慰謝料額は、本件に顕れた一切の事情を総合勘案し、金150万円が相当である。(平成3年3月29日 岡山地裁津山支部判決(要旨))

批評
性交渉拒否に有責性を認めた判例ですが、この判決については、病的な性的嫌悪感や体質的な性的不能など、本人に帰責事由がないと考えられる場合にまで慰謝料が認められるはおかしいという強い批判があります。

なお、性的不能であることを婚姻前に告知すべきであったのに告知しなかったがために婚姻関係が破綻したことについて、相手方の信頼を背く不法行為責任であるとして慰謝料が認められた事例(京都地裁昭和62年5月12日判決)もあります。