公正証書の養育費

養育費とは

未成年の子があるときは、親(離婚する夫婦)のどちらかが親権者となりますが、それとは別に、双方の財産や収入の状況により、子を引き取って養育する親に対して、他方の親から子の養育の費用として給付されるのが養育費です。

なお、未成年子本人も父母に対して扶養料の請求をすることができます。親は、未成年子に対して扶養義務を負っているからです。

養育費の算定は、どのようにするのですか

親は子が親と同程度の生活ができるように費用を負担しなければなりません(生活保持義務)。ですから、考え方の基本としては、子が支払義務者と同居していたと仮定すれば、このために費消されていたはずの生活費がいくらであるかを計算し、これを義務者と権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき養育費の額を決めるということになるでしょう。

公証人が養育費の算定をしてくれるのですか。 

それはありません。公正証書は、当事者の合意を記載して作成するものだからです。しかし、参考までに一応の目安くらいは教えてくれると思います。

養育費は、流動的な面があるそうですが、どういうことですか

養育費は、そのときどきの子の生活を維持してゆくのが目的ですから、離婚後における親や子に関する事情が変わると、これに応じて、その額や支払の方法等が変動する余地があります。その意味において、養育費は流動的です。

それでは、養育費については、取決めの際に、一切は解決済みである旨の条項を加えておいても意味がないのですか。 

そんなことはありません。その時点における合意の趣旨を明らかにしておく意味はあります。ただ将来事情の変動があっても給付についての変更を一切しないという効果まではないということです。

具体的には、どんな条項になるのですか。

例えば、次のように養育費の支払条項に続けて事情変更による協議の必要性を規定した条項が入ります。

第○条(養育費)

1  甲(親)は乙(他方の親)に対し、丙(子)の養育費として、平成○○年○月から丙が満20歳に達する日の属する月まで、1か月金5万円の支払義務のあることを認め、これを毎月末日限り、乙の指定する金融機関の預金口座に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。

2  当事者双方は、丙の進学、病気等による特別の費用の負担については、別途協議するものとする。

※あるいは、上記第2項の代わりに、次のような条項が入ります。   

2  将来、物価の変動、甲又は乙の再婚、失職その他の事情の変更があったときは、甲と乙は、丙の養育費の変更について、誠実に協議し、円満に解決するものとする。

「22歳に達した年の3月まで」養育費を払うとの合意は無効ですか。

「子の監護について必要な事項」(民法766条1項)としての養育費の支払は、親権が終了する子の成年に達したときまでに限られるとの見解もあるようですが、大学進学は特別のことではなくなりましたし、実際問題として子の大学進学を予定して大学卒業時までの養育費を定めたいという親が多くなっていることからみて、このような合意は有効と思われます。

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