暴力の背景を探らなければ本質的な解決は難しい

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暴力の背景を正確に把握することから始める

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殴る・蹴る・物を投げる・・・といった行為は身体的暴力に当たり「この程度や頻度が深刻なものならば」離婚や慰謝料請求の原因となり得ます。

但し、私が現実の問題を深く掘り下げて検討すると、暴力を振るった側にも相応の理由があることがたくさんあります。ここでは身体的暴力に関する現実的な問題点や解決方法などを掲げてみます。

まず、正当な理由のない暴力は絶対に許されるものではありません。もしそのような暴力が頻発するなら、直ちに別居し、離婚の手続きを進めていくべきでしょう。

ただ、暴力の背景を探っていったとき、理由もなく暴力を振るっていたケースは少数でした。

相談者が「理由もなく暴力を振るわれる」と話していても、相手方の反論を聞くと、相談者が話さなかった様々な背景や暴力の理由が明らかになることが多々あります。

こういったケースでは、問題の本質を正確に捉え、的確なアドバイスや対応ができる人が周りにいるかどうかで、円満に解決できるかどうかが決ります。

理由もなく暴力を振るう人もいますが、一般的には相手なりの相応の言い分があるケースがほとんどです。

暴力の背景を正確に理解できなければ、本質的な解決は図れませんので、ここでは具体的な事例を元に検証していきましょう。

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親族の不適切な関与は夫婦関係を崩壊に導く

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たとえば妻が「理由もなく暴力を振るわれた!」と泣いて両親に相談したとします。一部には「理由もなく暴力を振るわれることは無いだろう。とりあえず彼に聞いてみよう。」と冷静に対処できる両親もいるでしょう。

しかし「何の理由なく暴力を振るわれた」という言葉だけを鵜呑みにして、夫の言い分も聞かずに一方的に夫を誹謗中傷し、夫婦関係のみならず親族関係が崩壊に突き進んでいくケースも多々あります。

こんな時、夫が暴力に至った背景をうまく説明できれば解決の途も開けてきますが、世の中は上手に説明できない人もいます。

すると、暴力の背景が明かにならないまま、妻が主張する「理由もなく妻に暴力を振るう夫」という言葉があたかも真実であるかのように事は進んでいきます。

ここでは問題の深刻さをイメージしやすくするため、夫が次のように真相を語ったと仮定して考えてみましょう。

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夫が暴力の背景をこんな風に話したら・・・

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確かに妻に暴力を振るいました。何故そんなことをしたかと言うと・・・、正直なところ自己嫌悪みたいなところがあります。結婚直後、妻から新車の購入をせがまれのですが、給料も貯蓄もそれほどありませんでしたので「今は難しい」と答えました。

しかし妻は思い通りにことに怒って、それ以降、こんな言葉で頻繁に私の所得の低さをなじるようになりました。

「大した給料もないくせに」
「もっと稼ぎのある人と結婚すれば良かった」
「無能な男と一緒になった妻は大変!」
「もう一度結婚するなら絶対に財産のある人を選ぶわ!」

こんな言葉を約3年間、ほぼ毎日浴びせられ、イライラが相当溜まっていました。そんなとき、仕事から帰ってテレビを見ていると、妻が娘にこんなことを言っていました。

「お隣の山田さん、500万円の新車を買ったんだって。いいよね~、でもうちは無理ね。お父さん安月給だから。あなたたちはお父さんみたいな安月給の夫を選んじゃダメよ。」

自分に言うだけならまだしも、娘にまでそんな風に言われて・・・腹は立ちましたが、私の給料が少ないのは事実ですし、娘の前で喧嘩するのも良くないと思いましたので、気付かない振りをしてテレビを見続けました。でも・・・いくらテレビを見ても何も頭に入ってこないんです。だから僕は自分自身にこう言い聞かせました。

「他の家でも給料に不満を漏らす妻なんていくらでもいるじゃないか!気にする必要は無い!無視すればいい!放っておけばいい!」

でもそんなことをしている自分が逆に情けなくなってしまって・・・手元にあるテレビのリモコンを妻の居る方に向かって投げてしまいました。etre

すると妻は、突然私がリモコンを投げた私に驚き、涙声で『私が何をしたって言うのよ!いい加減にして!』と言って実家に帰ってしまいました。そしてその後すぐに義母から電話が入りました。

僕は「リモコンを投げたのは悪いことだけど、元々怒らせるようなことを言ったのは妻の方だし、直接殴ったわけでもないのだから、義母も事情を話せば分かってくれるはず」と思っていたので、次のように話しました。

「リモコンを投げたことは悪かったと思っています。本当に申し訳ありません。ただ、僕も彼女から色々言われてイライラしていました。どこの夫婦でも喧嘩はあると思いますし、直接暴力を振るったわけでもありませんから、ここは穏便に済ませてもらえませんか。」

しかし、現実はそう甘くはありませんでした。義母は私の言うことなど聞く耳持たずでこう言いました。

「娘に当たっていなくても、物を投げたら立派な暴力よ!どんな理由があろうと暴力が絶対にダメ。あなたそんなことも分からないの?言い訳なんか聞きたくありません。娘に聞いたけど、あなた、娘がお隣さんが車を買った話をしただけでリモコンを投げたらしいわね。それだけのことで暴力を振るうような人のところに娘や孫を置いておけるわけないでしょう。専門家に相談したら、あなたを娘に近づけないようにする接近禁止命令という制度もあるようだから、近いうちにその申し立てもさせてもらいますから。一応それだけ言っておきますから、今後一切娘に近づかないでください。」

義母はそう言って一方的に電話を切られてしまいました。私がリモコンを投げたのは悪かったですけど、僕はここまでされなければいけないんでしょうか。

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暴力の評価は、過去の掘り下げ方次第で変わってくる

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いかがですか?真相は、双方から話を聞かなければ分からないものです。しかし現実は厳しい。周りの人間は当事者ではありませんから、いくら聞いても全てを知ることはできません。真相を知らぬまま、僅かの情報だけで全てを悟ったかのように語るのが普通です。

リモコンを投げつけた行為の評価も、その日の出来事だけを前提にするのか、それ以前に辛辣な言葉でなじられ続けた3年のエピソードも含めるのかでは、全く変わってきます。

本質的な解決を図ろうとするなら、過去の経緯も含めて検討すべきことは当然のことです。しかし、現実的な問題に直面した方々の多くは、目の前の出来事や当事者の言葉だけに目を奪われがちです。

「夫に暴力を振るわれた」と娘が泣いて帰ってくれば、「可哀想」という感情から、理由度外視で娘に味方してしまう母親の心情はある程度仕方ないところもあります。

しかし、娘だけの鵜呑みにして、常軌を逸した態度で感情的に罵詈雑言を浴びせるようなことになると、問題は余計に拡大してしまいます。

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不利なことは表に出にくく、相手の非難は大げさになりがち

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問題拡大の原因は当事者の言動にもあります。基本的に当事者は他人に事情を話すとき、相手の非難に繋がることは大げさに言い、自分に不利なことは言わなかったり控えめに言うものです。

先のケースでも、妻が夫を相当侮辱していた背景があったとしても、妻が母親に「うちはお金が無いから高い車は買えないねって話をしただけなのに暴力を振るわれた」と言っていたとすれば、嘘ではないけれども、現実とはかなり違ったニュアンスで外部に伝わることになります。

暴力を振るった人の多くは、暴力自体が悪いことだと認識しています。なのに謝罪が難しいのは、本人なりの言い分や理由があるからです。

ですから、暴力を振るっていても「暴力は良くないが、その背景を分かってもらえなければ謝罪はできない!」と言う人は結構います。

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夫婦問題の細かな背景に耳を傾ける人は少ない

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こんな夫の心情は、前述の夫の言い分を読んだ方なら理解できるでしょう。しかし、このような問題の背景を知らなかったら・・・・。

たとえば先程の暴力の際に妻が警察を呼んだとします。この時に駆けつけて事情を聞く警察官は、その日に起きた出来事くらいは聞くものの、それまでの経緯などはほとんど聞きません。なぜなら・・・言葉は悪いですが「他人ごと」だからです。

このように書くと警察官を悪人のようにも感じられますが、それは私たち自身にも当てはまることなのです。

詳しい事情を聞かない態度は、いい加減なようにも思えますが、そもそも警察官は原則として「民事不介入」ですから、刑事事件ではない夫婦問題等の民事事件の解決に協力する義務はありません。

ですから、刑事事件でない以上、細かな夫婦の問題にまではほとんど立ち入りません。こんなとき警察は、細かな背景などは聞かないままに、表面的な事象だけを捉えて

「どんな理由があろうと暴力はダメ!」

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などと、底辺の人間に言い聞かせるように厳しく言い放ってしまいがちです。「そんなことは分かってる・・・」というようなことで非難されると、誰でも心が折れてしまいます。

しかし、私たち自身も知らず知らずのうちに「他人ごと」の対応をしていたりする現実をまず受け止めるべきでしょう。

表面的・形式的に物事を簡単に片付けられやすい世の中ではありますが、それでも私たちが一歩踏み込んで、他人の話に耳を傾け、その気持ちに配慮した形で対応できるなら、おそらく多くの暴力問題が片付くことでしょう。

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誰しも大なり小なり無関心によって他人を傷つけているもの

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人間の「無関心」も、暴力に近いものがあります。目に見えない暴力の加害者は、表面的な言動が他人を傷つけていることに気付かないことが多いです。私は何も警察だけが特別に悪いと申し上げているわけではありません。

夫婦の問題に関わる親族・友人・専門家・調停員・弁護士・行政書士・カウンセラーなど、どのような立場や肩書の人であろうと、大なり小なり人間は誰しも無関心によって他人を傷つけていたりはするものだ、と言いたいのです。

遠いアフリカで一日に何万人が餓死しようと、普通の人にとっては自分の虫歯が痛む方がよっぽど重大な問題です。「可哀想・・・」と思っても、自分の問題と同列に考えられるのはごく少数ではないでしょうか。

暴力問題の円満解決を図るためには、自分も他人を傷つけていることを理解した上で、次のように相手方の身になった考え方をした方が良いでしょう。

  • 自分も相当夫を傷つけること言ってたな
  • 夫なりに家族のために一生懸命働いてくれてるのよね
  • 毎日給料が少ないと言われたら、夫も立場がないわよね
  • 私が働いても、夫より稼ぐのは難しいな
  • 夫は家で仕事の話をしないけど、ほんとは色々悩みがあるんだろうな
  • 夫も他人と給料を比べられたら嫌だろうな
  • 子供の前で安月給なんて言われたら嫌だろうな

暴力を受けた側の妻がこんな風に考え始めたら、円満解決に向けた展望が開けてくると思いませんか?

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自分がされて嫌なことは他人にもしてはならない

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孔子の「論語」には次のような一節があります。

子貢問うて曰く「一言にして終身之を行うべき者あるか。」
子曰く「それ恕か。己の欲せざる所、人に施すことなかれ。」

現代語訳
弟子が孔子に「死ぬまで行うべき、といった言葉はありますか?」と質問したところ、孔子は「それは恕だ。自分がしてほしくないことは他人にもしてはならない。」と答えた。

「自分がされて嫌なことは他人にもしない」という言葉は、子供にも簡単に分かるような言葉ですが、実際に行うのは一生かかってもできるかどうか難しいことです。

日常には些細なことを含めると、数多くの「自分がされたら嫌なこと」がありますよね。「傷つくことを言わない」「乱暴な言葉遣いをしない」「時間に遅れない」「借りた物は返す」「本人のいないところで悪口を言わない」「愚痴をこぼさない」など・・・。

これらの実践は難しいことですが、暴力の問題もお互いがこの言葉の実践を試みるなら、ほとんどの問題は円満に解決するはずだと私は思います。

孔子のいう「恕」とは「相手を思いやって許す」という意味です。世の中は、暴力に至った背景の検討が不十分なまま、表面的に表れた暴力という事象だけを取り上げ、表面的な加害者だけが必要以上に非難される傾向があると感じます。

しかし、問題の円満解決を図ろうとするなら、当事者も関係者も「恕」の精神に基づいて事実関係を整理し、冷静に対処していくべきではないでしょうか。

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暴力を振るった側の話にも偏見を持たずに耳を傾けてみる

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暴力は絶対に許される行為ではありません。ただし、全体的な経緯を正確に把握し、責任の程度を慎重に検討する必要があります。

暴力を振るった人の多くは、暴力が悪いことと理解した上で「暴力の背景を理解してほしい」と思っているのです。ならば、表面的な暴力だけを取り上げて一方的に非難しても、本質的な解決に繋がる話し合いにはなりません。

暴力を振るった人の多くは「暴力の背景さえ分かってくれたら、ある程度のことは譲歩できる」と考えています。相手の立場になって考えることは、責任を追及する側のためでもあります。

暴力問題から派生する「偏見」や「無関心」によって傷ついた人にとって、「偏見なく、真剣に話を聞いてもらい、共感を得ること」は、問題の円満な解決にはとても重要なプロセスです。

このプロセスがないため、仕事もまともに手につかず、食事も喉を通らず、テレビを見ても楽しめず、睡眠もとれず、体重が激減していくなど、心身ともに疲弊している方々を何人も見てきました。この記事を読まれた方には「そうそう!」と共感された方もいることでしょう。

形式的で無関心な世の中ですが、私たちがもう一歩踏み込んだ形で他人の問題に目を向けることができれば、多くの暴力問題が解決するはずだと私は思います。hpsa3204c-s

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